月の木漏れ陽亭
いらっしゃいませ☆  リニューアル!詩作やら日記がメインです。趣味や日々のあれこれを語っています☆  みなさま、どうぞごゆっくりとしていって下さいませww
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新しい旅が始まる
   「女友達」②


       ※あらすじからご覧下さいませ you






  先生が教壇の中央に立つ。ゆっくりと、しかし確かに四十三人の

  顔を眺める。はたと陽子と目が合った。何も言わない。けれど幽

  かに微笑む。陽子は微笑まない。微笑んでしまったら、精神がま

  た元に戻ってしまうだろう。少し睨んだように凝(じ)っと先生を見

  る。私はあなたが好きです、敬愛しています、あなたのふと遠くを

  見つめる癖も、生徒に丁寧な言葉遣いするのも、コーヒーが好き

  な所も全て。それは恋愛ではない。もっと高尚なものであり、言葉

  では表すことが困難なものであることを陽子は知っている。

  先生はそんな全ての気持ちに気付いているように小さく、皆には

  悟られないように頷いてみせ、他を眺める。


  陽子は急いで目頭を押さえる。陽子には先ほどの倒れかかった事

  件も私だけが見ていたことを知っているかのように見えた。もうこれ

  だけでいいと思った。もう何も、贐の言葉も別れの言葉もいらないと

  思った。あの微笑と頷きが全てを語っているように感じられた。

  教室での最後の挨拶を終えて、静かに席を立つ。まだ講堂に居る

  だろう、父と母の所に行く。二人共何も言わずに陽子を待ち受けて

  いた。父は一言、にこりともせずに少し不機嫌そうに

  「おめでとう」

  と言う。陽子にはそれが嬉しい。この父は元来無口な男で、必要

  以外のことは何も言わない。しかし何かものを言う時は、如何にも

  もったいぶって不機嫌に物々しく言う。陽子はそんな父の癖に何時

  も苛立だしさを覚え、癇癪を起こしそうになるが、今日はそんな癖が

  妙に心に沁みて、ああこの人は恥ずかしいのだ、自分の娘に対して

  でも一言言うのが精一杯なのだと納得出来るような心持ちがする。

  母は父より半歩程下がった所にひっそりと立ち竦んで、父が言った

  その一言の台詞に大袈裟に、如何にもそれが大事かのように大きく

  頷いて見せ、この後どうするかと何時も優しい声だがこの日は特別

  という風に柔らかく聞くので、別にこのまま帰ってもいいがと答えた

  が、ふと考えてやっぱり友達と帰るわと言う。

  「そうね。それがいいわ。そうするべきよ」

  と母は言う。まるで自分に言い聞かせるように。父は何も言わない。

  ただ窓の外を見ているだけだ。


  二人と別れて、愛子と忍と麻衣子を探す。三人は大きな桜の木に

  凭(もた)れながら小さく固まっていた。陽子は弾んだ息を沈ませな

  がら、わざとゆっくりと進む。

  「終わったね」

  少し声が上擦ったようだったが、さも急いで来なかったように平淡に

  落ち着いて言った。

  「そうね」

  
  私たちにはこれだけの言葉だけでよいと思った。四人はゆっくりと歩く。

  校門を抜け、一斉に笑い合う。何か吹っ切れたようだ。悲しんでばかり

  などいられない。私たちには明日があるのだ。四人の目はそう語って

  いる。





                            続く~






  ※このカテゴリのタイトル名は、サザンの曲「君こそスターだ」

   の歌詞の一節から拝借しています  




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COMMENT

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じぞう | URL | 2008-09-06-Sat 21:15 [EDIT]
こんばんわ
小説書ければいいな・・・
なんて思うんですよ。
書いてみたいんですけどね・・・
タイトルとか、あらすじは出来てるんですけどね。問題は、時間です。
話は変わりますけど、コメントありがとうございます。
何事も、過ぎると欲求になり、足りなければ不満となる。
どちらも良くない事なんです。
とお釈迦様も似た様な事を言ってます。
だから、中間あたりがいいんだそうです。
ようするに、なんとなく幸せな状態でしょう。
これからも色々と拝見しますよ!
楽しんでますから、問題なしです。
むしろ逆…お世話になってます。m(_ _)m

だっちゅ | URL | 2008-09-06-Sat 23:01 [EDIT]
凡人だっちゅは高尚なコメントはできませんが
続きを御待ちしております。

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