月の木漏れ陽亭
いらっしゃいませ☆  リニューアル!詩作やら日記がメインです。趣味や日々のあれこれを語っています☆  みなさま、どうぞごゆっくりとしていって下さいませww
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夢も希望も現在(いま)は格子の窓の外に
   「苔寺」



    短編を載せようかと思います。

    下手ですよ?

    それでも、読んでくれますか・・・?







    「苔寺」  前編~



  今年の秋、私は一人京都へと旅立った。傷心の

 乙女心を引き摺って重い足取りでこの秋が深まっ

 た奥床しい地へとやって来た。私はどうにも自分と

 いうものに嫌気がさし、半ばどうなってもよいという

 諦めの気持ちでこの土地にやって来た。自分には

 もう何もない。

  何処かで幽かに寺の鐘の音が鳴り響いた。自分

 の全ての終わりを告げる音だと思った。

  私は一ヵ月後二十歳になる。その前に全てを流し

 ておかなければいけない。足取りは不確かだ、けれ

 ども行く先は心得ている。誰も居ない、静かな山の奥
 
 地へと行くのだ。

  私は十九年間独りだった。両親は私が三歳の頃、

 飛行機事故で死んだ。一人姉が居たけれどもその姉

 もそれから三年後、私が六歳の時、交通事故で死んだ。

 十一歳だった。私は両親が死んだ時も姉が死んだ時も

 泣かなかった。泣けなかったのだ。不思議に涙が出て

 こない。悲しくなかった訳ではない。寂しくなかった訳で

 はない。幼少だった私にとってかけがえのない家族を失っ

 た時の孤独感は並ならぬ喪失感をもった。しかしそれでも

 泣けなかった。それから十九年間、必死で生きてきた。何

 かに追い縋るように、何時も周りを気にしながら懸命に生き

 てきた。生きなければいけない、生きてゆくのだという可愛

 さが私にはあった。しかし、今の私にはその心は微塵にも

 無い。私は今既にその追い縋ろうと必死でいた自分を自ら

 の手で断ち切ろうと懸命になっているのである。


  私は恋をした。今から調度一年前。その男性には妻子が

 居た。それを承知で恋をした。K氏も私を好いてくれていた。

 私は孤独ではなかった。常に二人だった。温かさがあった。

 でも今思うとその温かさは幻の、まるでマッチ売りの少女が

 凍えそうで、必死に自分を温めようとしてマッチを擦り、大好

 きなおばあさんと逢い、楽しく、夢心地で一時幸せな時間を

 過ごせたような、そんなものであった。それでも良かった。幻

 でも、夢でも、それでも良かったのだ。しかし、一旦終わりが

 くるとその幻が、夢が、一気に音を起てて崩れてゆく。その跡

 形も無く壊れていった想い出たちを見ると何て冷たくて、無情

 なことか。堪らなくなった。一気に愕然となった。私は大切な人

 を失ってしまった。

  K氏は元の場所へ帰っていった。私は行く所が無い。いや、一

 つだけある。父や母、姉の元に行くことだ。それしかないと思った。


  私は単身、K氏には何も告げず、新幹線に乗りこの京都にやって

 来た。自分が何故この地を選んだのか、それはよく解らない。とに

 かくもう生きていくのは困難なのだ、私は今まで頑張ってきた、辛い

 ことも、悲しいことも乗り越えて一心に生きてきた。しかしもう限界だ。

 感覚が堪らないのだ。これ以上このままでいても自分の存在価値さ

 え解らずに朽ち果ててゆくことになる。今の私にはそれを一刻も早く

 自らの手で断ち切ることしかできない。もう俗世から離れよう、この泥

 々とした底無し沼のような世界から早く離れよう、そして温かく、淀み

 の無い、美しいまるで桃源郷のような世界へ飛び立とう。

  足が自然に人気の無い山を探し求めている。ふと見上げると其処に

 は西方寺が在る。割とこじんまりとしている風な寺である。私はふとそ

 の西方寺に行ってみたくなった。前に一度、中学の修学旅行で訪れた

 ことがある。


  西方寺こと別名苔寺。京の西、洛西に位置するその寺はビロードの

 絨毯で、庭一面を敷き詰めたかのように苔が覆っている。奈良時代に

 行基が開いたと伝えられている。この寺は小さいながらも威厳とそれに

 あった風格、そして色彩がある。苔で埋め尽くされた石段はとても素晴

 しい。他はあまりこれといって見所の無い寺だが、何故か心落ち着くも

 のがあったのを記憶している。




                後半につづく




  ※このカテゴリのタイトル名は、サザンの曲「真夜中のダンディー」

   の歌詞の一節から拝借しています  RiKaVOXY




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COMMENT

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読ませていただきました^^
たか | URL | 2008-10-29-Wed 21:21 [EDIT]
主人公のことが
心配になっちゃいました・・・
続きを楽しみにしていますね!
静寂
じぞう | URL | 2008-10-29-Wed 22:30 [EDIT]
苔寺、何かを感じさせますね?魂の静寂の時とでも言いましょうか。
主人公がここを訪れる事で、どの様に不安定な魂に落ち着きを見出だすのか、気になります。
(あっ!勝手に想像してます)
全ての人に幸不幸は同じ量だけあるのだろうと思います。
そのバイオリズムの波を、緩やかにするか激しくするかは、人それぞれの行いによるのでしょうね。
この主人公も、今そのバイオリズムの波が、一番底に来てるのでしょう。
でもそこから見えるのは、上だけのはず、苔寺で何が・・・

コメント有り難う御座います。
私にオーラ有るのかな?
冬灯さんは実家がお寺だから、
余り良い言い方では無いですが、
犬畜生も成仏は望みますから(何で犬畜生なんでしょうね?)清らかなものに寄る。
盛られるのは、貴女の中にある仏に縋り、
次こそはこの姿を離れたいからだと思います(犬畜生に生まれ落ちた辛さはたとえようもないでしょうから)
それだけ仏の心が現れているのでは無いでしょうか?
冬灯さんもさる事ながらお父様の功徳にも感謝しないといけませんね。
最近愛音さんと姉妹になられたようで…お二人にとって良い刺激に成りそうですね。
私も貴女達の様な、女性のきょうだいが欲しかったです。
昔は姉妹のいる友達が羨ましい時期もありました。

報告です。
話は全然違うのですが、今日また行って来ました、書き始めたばかりの原稿もって、あらすじを話したら興味を持ってもらえたみたいで、色々とアドバイスももらえました。
ついでに今日担当してくれた作家さんがサインして自身の本を私にくれました。
「ただ、今できることを」って、一言添えられていたんですけど、凄く重く感じました。

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