月の木漏れ陽亭
いらっしゃいませ☆  リニューアル!詩作やら日記がメインです。趣味や日々のあれこれを語っています☆  みなさま、どうぞごゆっくりとしていって下さいませww
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希望の轍 2
   「苔寺」  後編~



  このくらいの寄り道をしてもいいだろう、そう思い

 私は石段を上ってゆく。緑の苔がとても美しく、輝

 いて綺麗だ。上は見ずに私は半ば惹き寄せられる

 かのようにただじっと下の苔を見つめながら、ひた

 すら上ってゆく。日頃鍛えていない身体は実に正直

 なもので、それほどすごくもないこれしきの階段を上

 るのに息が荒くなってくる。息を殺しながら石段を上

 りきり、いざ真直ぐ見つめる。途端、身体が痺れる感

 に打たれた。身動きができない。荒くなっている息の

 ことも忘れ、ただ茫然と立ち尽くしているしかできなかった。


  私が目を上げた其処には、紅葉の素晴しく艶やかで

 華やかな世界が上に在り、下にはこれまた素晴しく広

 々と深い苔が隅から隅へと広がっている。まるで赤と

 緑の世界である。今日は平日の為か、お参りする人も

 観光に訪れている人も誰一人として居ない。

  私は一言発するだけで精一杯だった。中学時に来た

 時は季節は春だった。だからこんな世界を見るのは初

 めての経験である。見つめていると赤色に染まった紅
 
 葉たちと緑色に輝いている苔たちとが互いに重なって

 ゆく、惹き合うかの如くに迫ってゆく。その二つの世界

 がゆっくりと交わり、一つの世界が其処に生まれる。

 それはまさに奇跡であった。一直線になったその線が

 異様に眩しい。光だと思った。何て温かいのだろう、こ

 の苔は私の下で私を支え、大きく抱え込み、強く、逞し

 く、広々と見つめ、常に護っていてくれる父親のようだ。

 そしてこの紅葉は上から私の頭を撫で、温かく包み込

 み、優しく、微笑み、すがすがしく見つめ、常に抱き締め

 てくれる母親のようだ。


  涼しい風が私の頬を掠めてゆき、紅葉がさわさわと大き

 く、小さく揺れる。涙が止まらなかった。両親が死んだ時

 も姉が死んだ時もK氏と別れた時も傷ついたけれど涙は出

 なかったのに、この温かく清らかな世界に出逢って私の心

 がこの世界と交わり、共鳴して、如何しようもなく涙が止ま

 らないのだ。

  清涼な風は姉のようであり、私の周りを軽く飛んでいる。

 木々たちと風の音に身を任せて目を閉じる。世界が語り出す。


  (だいじょうぶ)

  (がんばれ)

  (まけるな)


  暫く傷心を癒してくれるその甘い囁きに耳を傾け、その温か

 さを体一杯吸収する。暫くして風が止み、目をそっと開けると

 元の位置に戻っていた。


  帰ろう。私は独りではない。家族が居る。何時もこのように

 私の傍に居てくれている。何ていうことだろう、私は自分に負

 けてその心も忘れていた。K氏のことは辛かった。寂しかった。

 悲しかった。けれど私はまだ若い。人生がある。希望がある。

 あの、一直線になり輝いていた光がある。何も早めることはない。

 私が幼少の頃に家族を亡くし、最愛の恋人を失うことは宿命で

 あり、変えられぬさだめだとしても運命は違う。

  運は常にこの自らの力で掴みとってゆくもの、勝ち取ってゆく

 ものなのだ、私は自分から逃げていた、己はとても弱くて可哀想

 なのだと悲劇を装って思い込んできた、今それが間違いであっ

 たことが解った。もう一度やり直そう。自分の運は自分で変えて

 ゆくのだ。

  私にはこの赤い世界と緑の世界、そして風が在るのだから。







 この話は、私が大学生の時に文学部の企画で書いたものです。

 よって、かなり古い作品でやっぱりものすごく下手っぴな小説で

 すが、最後まで読んで頂き、有難うございます☆

 企画というのは、クリスマス企画というもので、作品中に「赤」と

 「緑」という文字を入れる、というものでした。

 で、こんな話を思いついたのですが、実はタイトルにしている苔寺

 には一度も行ったことがなく・・・(汗。

 空想と妄想と・・・ガイドブックによる知識のみの仕上がりとなって

 おります。すみません。。。

 なので、ひじょうに現実感のない、中身のない話になってしまいま

 した・・・。

 自分の中では、川端康成の「伊豆の踊り子」のように自己再生を

 書いたつもりです。自殺を考えていた主人公がもう一度人生をやり

 直そうとする姿が少しでも伝えることができているでしょうか・・・。




  ※このカテゴリのタイトル名は、サザンの曲「希望の轍」から

   拝借しています  カレーライス



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| | 2008-10-30-Thu 13:21 [EDIT]
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小説書けたらいいな~。
トクベー&キーボー | URL | 2008-10-30-Thu 13:28 [EDIT]
小説書けたらいいですよね。憧れます。
 実は、私は文章を書くのが大の苦手でして、三行程度の報告書をかくのに30分かかったりするんですから、もうお話になりません。中学生のとき、ぜんぜん内容が理解できていないのに、森村誠一に憧れて、「推理小説書くぞー」と意気込んだまでは良かったが、原稿用紙一枚も埋めることもできずに断念したことがあります。だから、「作家になる人って偉いなー」と思っていました。
 あるとき、誰だったか忘れてしまいましたが、昔の作家の記念館のようなところを見学したことがありました。そして、直筆の原稿を見て驚きました。すらすらと書いているとばかり思っていたのに、消したり書いたり修正したり矢印がひいてあったりして、苦労して書いてあるのが、はっきりと見て取れたので、内心ホッとしたのでした。でも書けたらいいなーとは思いますが、書こうとは思いません。
 因みに私は三浦綾子のファンです。
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| | 2008-10-30-Thu 21:00 [EDIT]
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うんうん
じぞう | URL | 2008-10-30-Thu 21:42 [EDIT]
そうそうこんな感じで終わるの・・・
予想通りって言ったら失礼か、ごめんなさい。
これは、いいじゃない?もっと先の方から、
主人公が彼に出会うところくらいから書いて、
途中で身の上入れて、段々気持ちが離れて
それでこのシーンで、何かを掴み取った強い女性に変わるの・・・
どうかな?こんな感じで良いの書けると思うよ。
そうそう作家になりたい理由の一つに凄く不順なのがあって、色んな所に取材と称していきたい・・・ってのがあるんだ。
不純な動機、いけないよね。
さて、ここからが問題です。
私が書きたいものは片思いの恋愛小説で、
キーワードは無花果です。
さあどんなあらすじでしょうか?
当たったら豪華賞品・・・は無いです。
どうかなこの問題で少しは気分転換になるかな?
そうそう!
たか | URL | 2008-10-30-Thu 23:06 [EDIT]
気がついてくれてよかった!
この哲学は私の思いと同じです^^
よかった②!
運命は自分で切り開くものですね!
ありがとうございます^^
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| | 2008-10-31-Fri 08:08 [EDIT]
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トクベー&キーボー さま
星月 冬灯 | URL | 2008-10-31-Fri 12:02 [EDIT]
三浦綾子さんのファンなんですね。私も読んだことあります。「道ありき」確か、彼女、キリスト信者でしたよね?文章の中にそんな表現が結構書かれていたような・・。
森村誠一、いいですね~。私もサスペンス好きです。
私も長い文章、実は苦手だったり(笑)書いていく内にだいぶ慣れてきたり、多少は巧くなってくれてる気はするのですが(汗。
文才なんて!トクベー&キーボー さんには必要ないですよ!だって素敵な音楽の才能とセンスがあるんですもの!それ以上に文才も兼ね備えてたら・・今でも嫉妬してるのに、更に嫉妬しちゃいます!!vv←これ、本気なんでvv
じぞうさま
星月 冬灯 | URL | 2008-10-31-Fri 12:11 [EDIT]
キーワードは無花果・・・甘酸っぱいイメージがあったりしますが・・・。女性らしさも感じる言葉ですね。どんな内容だろう・・。想像するとワクワクしますvv

長く書ければいいのですが・・・長編というのが中々書けないんですよね・・。案外飽きっぽいので(笑)でも挑戦はしたいですね。・・・下手ですが(汗。
やっぱり想像通りでしたか(笑)
見ようによっては宗教ぽいような気はするのですが・・。詩は色んなタイプに分けてるので一概にはいえないんですが、小説にいたっては根底には「再生」だとか「生」というのをテーマにしたいなあとは思ってるんです。うまく表現できるかは別として(笑)

私も取材で色んなところ行きたい(笑)
憧れてるんですよ。よく作家が旅館とかで執筆活動するじゃないですか!あれがやってみたい(笑)思い切り不純ですvv
たかさま
星月 冬灯 | URL | 2008-10-31-Fri 12:14 [EDIT]
はい。有難うございます!
そうですよね。運命は自分で切り開いてゆくものと、私も信じています。もっと深く言うなら、ぐんをつらねて切り開く・・・みんなの力で変えていく、これが運命なのだとvv
あらゆる力を借りて、夢に向けて進撃していきたいですね!

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