月の木漏れ陽亭
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彷徨う男の魂を誘うワルキューレ 2
   「サド侯爵夫人」を読んで


 読書感想です。またしても、かな~り昔に読んだ本で

 日記を公開してみます。私観なので。あくまでも。


    「サド侯爵夫人」

          作者:三島 由紀夫

  チューリップ あらすじ チューリップ

 獄に繋がれたサド侯爵を待ち続け、庇い続けて老いた

 貞淑な妻ルネを突然離婚に駆り立てたものは何か?

 --- 悪徳の名を負うて天国の裏階段をのぼったサ

 ド侯爵を六人の女性に語らせ、人間性にひそむ不可思

 議な謎をかいている作品。



  いちご5 感想 いちご5

 まず疑問に思うのが、何故主題をサド自身ではなく、そ

 の夫人にしたのか。しかし彼女を主人公にしたお陰で、

 興味がかなり湧くように感じる。三島は、良い点に主題を

 持ってきたなと思う。一見見失いがちな夫人の存在。それ

 をこと細やかに巧みに描いている。改めて彼の描写力に

 感動する思いだ。

 この小説のもう一つの面白さは、サド自身が出てこないと

 いう点である。つまり、全ての場面を女性6人だけで構成し

 ている。それがひじょうに面白い。6人の女性たちもとても個

 性的で見ていて飽きない。

 三島は、この6人の女性たちに人間が持っている不可思議

 なものを語らせている。性(肉欲)が全てと考えるサン・フォン

 伯夫人。信仰(この場合は神)が全てと考えるシミアーヌ男爵

 夫人。名誉や家名という世間を気にするモントルイユ夫人。気

 ままに思った通りに、世渡り上手に生きているアンヌ。夫の奇

 妙な性格に何故か心を惹かれ、自分=サドだと思い、世評を

 気にもせず、一種同情の激しい、一生を貞淑な妻としてきた妻。

 これらの人たちを傍目で批評し、常に冷静な態度で生活してい

 るシャルロット。彼女らの性格そのものは、社会的問題といって

 もそう過言ではないと思う。もっと大きく分けてみれば、肉欲・

 信仰・名誉・それらに束縛されない心・貞淑・世評。これらを三島

 は巧く彼女たちを使って語っている。

 私がこの話を読んで、三島をすごいなと思ったのはただ単に主題

 の面白さや描写や話の工夫だけでなく、戯曲の巧さにも感動した

 からである。実際にこの劇を見てみたいと思う。

 しかし、不思議なのは夫を真実化し、貞淑な妻であったルネがサド

 が出獄してきた途端、別れてしまったのは何故だろうという点だ。

 確かに何十年も経っているのだから、風采も昔よりは落ちているだ

 ろうし、何よりも獄にいたのだから、苦労もし、年よりも老けた風体

 になってしまっただろう。ルネはそれだけで別れてしまったのだろう

 か。私が思うに、ルネはサドの妻として出獄するまでは自分の努め

 だと思ってきたのではないか、あるいは出獄してからもルネは夫と

 別れるつもりはなかったのかもしれない。しかし、彼を見た途端(昔

 の彼ではなく、だいぶ落ちぶれた)、何かがはじけたのではないか。

 彼女の中で何がはじけたのかは解らないが、「昔と今とではもう違

 う! 」と感覚が彼女に訴えたのではないか。だから根拠は別段ない

 ように感じる。人間意味もなく精神的に会いたくないとか、一緒にいた

 くないなどと感じることがある。それはひじょうに説明のつかないもので、

 「感覚」としか表現できない気がする。この場合、下手に理由を見つけ

 てこじつけるよりも、このように解釈した方がルネの人間性をあまり壊さ

 なくて済むと思う。

 そう思う意味では、最後のシーンは良かったと思う。ルネの気持ちが解

 るようでいて、解らないようにしてある所がにくい。軽く読み流してしまえ

 ば、夫の風体に落胆し、異常が典型的に変わったことへの怒りと悲しみ

 で別れてしまったのではないかと思えるが、もっと深く読めば感覚的問

 題という見方ができる。三島はルネを壊さないように、わざとどちらでも解

 釈できるように設定したのではないかと思う。そこに彼の戯曲の巧さが

 表れている。



 
   この作品は、小説ではなく戯曲になっています。実に多彩な三島。

   サド侯爵は実在した人物であり、妻ルネも同様。そして、出獄後に

   離婚したのも事実です。

   サド侯爵がどんな人物で、なぜ獄に入っていたのかはみなさんご

   存知ですよね?





  ※このカテゴリのタイトル名は、サザンの曲「リボンの騎士」の

    歌詞の一節から拝借しています  無責任大倉




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COMMENT

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存在
じぞう | URL | 2008-11-05-Wed 21:43 [EDIT]
こんばんは
この中で一番気になるのは、やはり人物の表現のやり方ですね。
一人の人物を多種多様な人間に語らせる事で、忠実な人物像が出来上がる。
前に一度何かの番組で見たことがあります。
読み手の想像力に挑戦するような書き方
三島由紀夫の感性の素晴しさを感じます。
時に私三島の割腹はテレビでリアルタイムで見ていた記憶がありますよ。
何故待ち続けた人と別れたのか?
そこに私は距離を感じます。
彼を自分だけの者にしてはいけないという心から来る距離とでも言いますか、
要するに6人の女性がいるから保たれていた
秩序の様な物が有ったのではないでしょうか?
それに、彼女自身も6人のうちの一人であって、要するに6分の1の状態でしかないのではないでしょうか?
6人で始めて一人の人としての価値がある。
その一人一人の集合が、一人の人格としての彼を作り出す。
彼一人でも女性達一人でも成り立たないし、どれかがかけても成り立たない。
人間が生きていく上で、人格形成には個だけではなく他の役割が大きい事等も考えられるのではないでしょうか?

コメント有り難う御座います。
>想い出すことは決していけないことではないと思います。
有り難う!そう言って貰えると、少し楽に成ります。
どうしても、イケないって思おうとすると、プレッシャーになって、混乱しちゃいますから。
>今時の若い子もそんな渇いた心を持っている子が多いような気がします。
親が愛情の与え方を間違えて居るのでしょうね。
始めから心の乾いた子供は1人も居ないと思います。

ふむふむ
愛音 | URL | 2008-11-06-Thu 07:39 [EDIT]
サド侯爵ゎ
その性癖からサディストの語源になったってコトくらいしか知りませんー('〇';)
刑務所にはいっていたってコトとか
この小説の存在とか知りませんでした(>_<)
三島さんってあの三島由紀夫さんの作品なんですね!@@
これも驚きましたw

そして侯爵本人が出てこないんですかー!?
一体どんな書き方なんだろう
めっちゃ気になる。。。
冬灯お姉さまの作品紹介って
めっちゃ気になる書き方しますよねw
うーん。。。こんな風に書かれると
気になって気になって読みたくなる。。w
出版会社の営業の方ですか?w
愛音ちゃんへ
星月 冬灯 | URL | 2008-11-06-Thu 08:37 [EDIT]
 愛音ちゃんへ

コメント有難うございます☆

そうなの!サド伯爵本人は出てこないけど、登場してくる女性たちが彼のことを語る、という戯曲です☆面白い題材でしょvv
サドは、ほとんどの人生を獄か精神病院で過ごしてて、亡くなったのも病院内。いくつか小説も書いてるんだよ。実はまだ読んだことないんだけどね。相当スゴイらしい(笑)語源にもなったほどのサディズムな人で有名だよね。ちなみに妻ルネの妹とも関係してるんだよ・・・

あ。出版会社からの回し者って、わかっちゃった~?笑。へへへ!

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