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月の木漏れ陽亭
いらっしゃいませ☆  リニューアル!詩作やら日記がメインです。趣味や日々のあれこれを語っています☆  みなさま、どうぞごゆっくりとしていって下さいませww
夕陽に別れを告げて
   「女友達」 ①~本文~



  校歌が流れ出す。三百人近くの生徒達が音をたてずに

  立ち上がる。厳粛で満ち溢れた講堂で、薄明かりの中

  に響く涙の声が小さく谺(こだま)しながら陽子の耳に幽

  かに入ってくる。

  既に陽子も泣いている。泣きながら歌う校歌は最早歌で

  はないという程に乱れ、喉はからからに渇き、幾度も舌で

  唇を舐め回し、目はしょぼしょぼし、視界もはっきりせず、

  少し頭痛がして、ああ、この校歌を歌い終わってしまったら

  私はこの愛しき学校を卒業してしまうのだなと、寂しさと悲し

  さの中に居る自分がとても愛おしく、切ないような思いがする。

  
  無事式が終わり、とぼとぼと教室に向かう。頭がぼーとしてしょ

  うがない。まだ夢の中にいるようで、心が漠然としている。少し

  陰気臭い教室は陽子のそんな心を慰めるような気がした。


  席に着き、少し集中する。今の自分の精神を平常に戻すよう努

  力することが必要だと感じる。桜の木のことを考える。あの木は

  恐らく私が生まれるずっと以前からああしていたのだろう、そうし

  て私が死んでからも微動だにせずにその姿勢でいるだろう。池も

  噴水も恐らくその儘だろう。世の中は常に変わるけれども、この学

  校だけは変わらない。いや、変わるか。変わらぬのは私の心の中

  に存在するこの学校の思い出や景色だけだろうと少しざわめいて

  きた教室に一瞥して陽子はそこで精神集中を止めた。

  ドアが開き、浜田先生が入ってきたからだ。陽子は先生の顔を見て

  ドキリとする。浜田先生は良い人だ。あれ程の人物は他には居ない

  と感じる。さっき卒業式の中頃、先生がよろめいた。他の先生の影に

  居たからちょっとやそっとでは解らない。他の生徒は気付かないだろ

  う。私だけが知っている出来事だと陽子は思う。最近具合が悪いと

  仰っていらしたけど、今日は大丈夫かしらと実は式の始まる前から心

  配をしていたのだ。案の定、先生は倒れそうになった。

  思わず声が出そうになったけれど、ぐっと我慢した。この涙する幻想的

  な雰囲気を壊してはいけないと判断したからだ。

  
  
                            続く~


   ※このカテゴリのタイトル名は、サザンの曲「夕陽に別れを

    告げて」を拝借しています  萩と月



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COMMENT

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いき♂ | URL | 2008-09-06-Sat 12:36 [EDIT]
先生が心配……
続きが読みたいです!
脳挫傷による見えない障害と闘いながら・・・
智太郎 | URL | 2008-09-06-Sat 13:25 [EDIT]
5個・・応援ブログランキングプチプチしときましたッス・・とうかさん「本」出版してるの?いいなぁ自分も「本」出したいけど・・お金かかりますよね?

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