月の木漏れ陽亭
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哀しみの道化師
   小説家に学ぼう~太宰治③



  絵文字名を入力してください 恋と革命 絵文字名を入力してください

 太宰治の作品は青年たちに愛読されることが多い。なぜに若者

 を惹きつけるのか。それは太宰氏にとって「恋と革命」が文学

 のモチーフとしてとらえていたからだと思う。

 この「恋と革命」という言葉は、「斜陽」の中に出てくる。ま

 さに青年時代の青春を指しているような表現だ。

 だから太宰の文学は「青年の文学だ」と言われるのだろう。

 「斜陽」の一文に、「人間は恋と革命のために生まれてきたの

 だ」と主人公が叫ぶシーンがある。主人公であるかず子の生き

 方は反俗の精神でつらぬかれている。つまり「おとな」たちの

 世界に対して反逆の精神を抱いているのだ。それは、おとなた

 ちの生き方が生きるということに値しないと彼女が考えている

 からである。この反俗・反逆の精神というのは、物質的な価値

 に対する精神的な価値を主張した意味を含んでいる。

 「人は何を幸福とするのだろうか。金をたくさん得ることか。有

 名になり名誉を得ることか。衣食住に何不自由ない状態か。美

 くしく賢い相手と結婚し安定した家庭を築くことか」

 太宰は小説の中で度々反語的にこういった言葉を残している。つ

 まりここでいう「おとな」というのは、物質的なものを得ること

 以外、どんな目的をもつこともできない不安な「現実」に生の充

 実感を見失い、よりどころを求めようとしても得られない荒涼感

 が精神を腐食し続けているものという意味だろう。本当に生きる

 とは何であるのか。ただ目に見える欲や物欲のみが得られればよ

 いのか、という反語を我々に投げかけているのだ。

 「恋」。それは実に甘美なものである。だが、それに忠実に生き

 ようとする時、それを拒む俗なる「おとな」の世界からのあらゆ

 る障害(道徳・既成の価値観)と闘い、それを抑制・粉砕しなけ

 ればならない。それが「革命」を意味している暗喩ともなっている。

 太宰のいうところの「革命」とは、「恋」を第一義に考えている

 点である。つまり自らの魂の叫びに従って真に生きようとする姿

 勢、そのことが重要なのだと彼は言いたいのだろう。この点から

 も分かる通り、つまり太宰がいうところの「革命」とは、世間一

 般でいわれる社会革命、共産主義とはほど遠いものである。彼の

 中では、旧来の思想を破壊しようとするがむしゃらな勇気、完成

 しようとする美しくも儚い幻想のようなものを指しているのでは

 ないだろうか。「おとな」の目から見ればそれは無益なことでも

 自らの存在を賭けられることこそが青年の特権であり、それは「

 おとな」の打算や自らの存在の保守という考えとは相容れぬもの

 なのだろう。

 「恋と革命」に生きるということは、「おとな」の世界(社会と

 いう秩序ある現実世界)との間に矛盾を生ぜざるをえない。そこ

 に葛藤や苦悩が生まれる。その果てに、青年たちは「恋と革命」

 を捨て「おとな」の世界に入ってゆく。そこに選択はなく、拒否

 したものにはただ滅亡が待っているのだ。しかし、太宰はその道

 をいったのだ。「おとな」の世界を拒否し、「恋と革命」に生き

 ることを貫徹した。そう生きることが自らの生を自らのものとす

 ることでこそあると信じたのだろう。そして、その滅亡に至る過

 程を自らの小説として描いたのである。

 「恋と革命」に生きることを貫徹せんとする太宰の一途さ、純粋

 さ、情熱、それらに青年たちが自らの理想像をあるいは自らの姿

 そのものを投影して見ているのだろう。だからこそ青年たちにこ

 れほどまでに彼の作品が受け入れられるのだろう。

 私はそういう生き方に憧れを抱いたとしても、とうていそういう

 生活は送れない。映画やドラマや小説を見て、その世界に惹かれ

 たとしても、やはりそれは架空の世界観であって、現実としては

 受け入れることはできない。だからこそ、私はこんなにも彼に惹

 かれるのかも知れない。自分にはできないこと、無理なこと、だ

 からこそ、彼の小説を読む度に甘美にも似た擬似体験を通して恋

 と革命に夢を見るのかも知れない。

 ちなみに「斜陽」の主人公であるかず子は、妻子ある人の子を宿

 し、その子を産み育てるという決意をする。つまりこれこそ恋と

 革命に生きた女性象なのだ。そして太宰の人生もまさにその言葉

 の通りの人生だった。





 一区切り。ということで、とりあえずは太宰氏については一旦

 終わろうと思います。

 彼の文学や生き方などについては、またの機会にでも。















 ※このカテゴリのタイトル名は、サザンの曲「恋の大泥棒」

  の歌詞の一節から拝借しています  





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COMMENT

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No title
AIジジイ | URL | 2012-07-14-Sat 00:23 [EDIT]
こんばんは
またまた覗きにまいりました

しかし、よくお調べになられてますね
わたしなんぞ、太宰作品を読んでは
"ふぁ~ふ~ん" "おぉ~" と驚きと感嘆の声を上げる位しかありません

『おとなの世界を拒否した』よくわかります
ゆえに恋に一途になれたんですね
深いです
AIジジイさんへ
星月冬灯(ほしづき とうか) | URL | 2012-07-14-Sat 12:14 [EDIT]
> こんばんは
> またまた覗きにまいりました

こんばんは。いつも有り難うございます ^^

> しかし、よくお調べになられてますね
> わたしなんぞ、太宰作品を読んでは
> "ふぁ~ふ~ん" "おぉ~" と驚きと感嘆の声を上げる位しかありません

恐れ入ります (照)
大学生の頃、よく調べたりしました。
その時の資料や本やらがまだ手元にあるので、処分するのももったいなくて
ブログに載せてみました^^

> 『おとなの世界を拒否した』よくわかります
> ゆえに恋に一途になれたんですね
> 深いです

太宰は本当に不思議な人ですよね。
二面性を持っていて、大人に成りきれない子供のような感覚の持ち主の
ように思えます。
それだけ純真であったのでしょうが、この世の中で生きて行くには辛い
ことも多かったのでしょうね。

まり姫 | URL | 2012-07-14-Sat 16:52 [EDIT]
冬灯さんこんにちは~~♪
いつもありがとうございます^^
冬灯さんの分析は鋭いですね~
私にもそのくらいの能力があればと思います(*^^)

「それは架空の世界観であって、現実としては受け入れることはできない」という冬灯さんの考えに驚きと共感を覚えました( ^)o(^ )
まり姫さんへ
星月冬灯(ほしづき とうか) | URL | 2012-07-15-Sun 11:35 [EDIT]
> 冬灯さんこんにちは~~♪

こんにちは~
コメント有り難うございます^^

> いつもありがとうございます^^

こちらこそいつも有り難うございます。

> 冬灯さんの分析は鋭いですね~
> 私にもそのくらいの能力があればと思います(*^^)

いえいえ!
大学生の時に結構本格的に研究のまねごとしてたので^^
結構色んな研究者の言葉が入り混じってたりしてますし (笑)

>
> 「それは架空の世界観であって、現実としては受け入れることはできない」という冬灯さんの考えに驚きと共感を覚えました( ^)o(^ )

色んな資料などを見ながら自分の意見なども加えてまとめただけなんですけど
そのように言ってもらえて嬉しいです^^///

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